消化器内科とは

消化器科のイメージ写真

消化器内科は、食道や胃、小腸、大腸などの消化管と肝臓、胆嚢、膵臓に起こった様々な症状のある方を対象として、主に内科的な治療を行う専門診療科です。
腹痛や嘔吐、下痢、便秘などは、一過性の病気であることも多いのですが、虫垂炎などはすぐに治療しないと命に関わることもあります。
また、心窩部痛を訴えて来院された方が、急性膵炎や、胆石、胆嚢炎であることがあります。お腹の違和感や食欲不振、下痢などが慢性的に続くときは、胃がんや大腸がんが隠れていることもあります。
気になる症状がみられたときは、お早めにご相談下さい。

このような症状の方はご相談を

  • お腹が痛い、なんとなく調子がわるい
  • 便秘
  • 下痢
  • 血便
  • 胃もたれ
  • 胸やけ
  • 吐き気
  • 嘔吐
  • 食欲不振
  • 体重減少
  • 顔色が悪い

消化器内科で診療する主な疾患

逆流性食道炎

胃液や胃内で消化途中の食物が食道に逆流することにより、食道が炎症をおこす病気です。
胸やけ、胸が締め付けられるような痛み、げっぷ、酸っぱい・苦い液体が口まで上がってくる、喉の違和感、つまり感、咳など、様々な症状が起こります。
食生活の欧米化やピロリ菌の除菌に伴い、患者数が増加しており、日本においても10%の方に逆流性食道炎があると言われています。
食道裂孔ヘルニアや、肥満、妊娠、脂肪分の多い食事、甘いもの・辛いもの・酸っぱいものの摂取、コーヒー・紅茶の過度の摂取、飲酒・喫煙などで悪化します。
内視鏡検査や食道内pH測定、食道内圧測定によって診断をつけて、治療につなげていきますが、食道内pH測定、食道内圧測定は入院が必要です。当院では内視鏡検査を行い治療につなげていくことをお勧めしています。
胃酸分泌抑制薬、粘膜保護剤、胃酸中和薬、消化管運動促進薬や漢方薬を使用しますがまずは一種類から初めて、治療効果をみながら治療薬を増減します。定期的な通院が必要です。

食道がん

喫煙や飲酒の多い方にみられる傾向があります。
進行がんになるまで、症状がないことが多いですが、胃がんに比べて転移が早く、手術も大きなものになるので、内視鏡治療が可能な早期癌でみつけることが大事です。

表層性胃炎

過度な胃酸の刺激により胃粘膜に炎症が起こったものです。
食べすぎ・飲みすぎ、ストレス、胃酸過多など、ピロリ菌感染がない場合にも発症します。
内服療法のほかに再発予防に向けて食生活・生活習慣の改善が重要です。

萎縮性胃炎

慢性的な胃炎により、胃粘膜が減少した状態のことを「萎縮」と呼んでいます。
大半の症例でピロリ菌が大きく関与していて胃がんのリスクが高いため、ピロリ菌の除去などを行って治療します。
除菌が成功したあとも胃がんのリスクは0%ではないため年に1度の内視鏡検査をお勧めします。

鳥肌胃炎

粘膜にリンパ濾胞の過形成がみられ、小さな隆起としてみられるものを鳥肌胃炎と呼びます。
若年の特に女性で、ピロリ菌感染の方に多くみられます。胸焼けなどの不快感が出やすいと言われています。
また、未分化型胃癌から進行する、スキルスというとても進行の早い胃がんに関連しているとされています。
ピロリ菌感染陽性のうち、鳥肌胃炎のある方の発癌率は、鳥肌胃炎のない方に比べて60倍以上と報告されており、ピロリ菌の除去などを行って治療します。

胃潰瘍

胃の粘膜が胃酸の刺激によって傷ついてしまう疾患です。
ピロリ菌が感染している方や、痛み止めの薬(NSAIDs)を飲んでいる方によくみられます。
主な症状としては、みぞおちの痛み、胸やけ、お腹の張り、吐き気、食欲の減退などです。
胃がんとの鑑別が必要で、場合によっては一部検体採取して顕微鏡検査を行う病理検査が必要ですので、内視鏡検査は必須です。
治療は胃酸を抑える薬を1〜2ヶ月内服します。
進行すると、消化管からの出血や穿孔などの合併症を引き起こすことがあります。
胃からの出血の場合、タール便という黒い液体の下痢となります。出血が疑われるときには緊急の内視鏡的手術が必要になることもあります。

十二指腸潰瘍

十二指腸の粘膜が胃酸の刺激によって傷ついてしまう疾患です。
心窩部や背中の痛み、胸焼けなどの症状が出ますが、夜間や空腹時の多く、食後は楽になるという特徴があります。
進行すると、出血や穿孔などの合併症を引き起こすことがあり、十二指腸からの出血の場合、タール便という黒い液体の下痢となります。
出血が疑われるときには緊急の内視鏡的手術が必要になることもあります。
胃潰瘍なのか十二指腸潰瘍なのかを診断するために内視鏡検査は必須です。
治療は胃酸を抑える薬を1〜2ヶ月内服します。

胃がん

胃粘膜内の細胞が、何らかの原因でがん細胞に変化する病気であり、罹患数(がんになる人の数)、死亡数ともに、がんの中で男性では2位、女性では4位です。
初期の段階では、自覚症状はなく、多くは検診や人間ドックの内視鏡で発見されます。
早期胃がんでは、完治が可能ですので早期発見が非常に重要です。
しかし、中には未分化型で、非常に進行の早いものもありますので、40歳を超えたら症状がなくとも、定期的に検診を受診し、早期の段階で発見できるようにしましょう。
胃がんの原因としてはピロリ菌感染、飲酒、喫煙、食生活などが挙げられます。
治療法としては内視鏡による切除術、外科手術、薬物療法、放射線治療などがありますが、ひとりひとりに合わせた治療法の検討が必要です。
早期胃がんでは内視鏡による切除術が可能で、外科手術よりも身体的な負担が少なく、根治が見込めます。
定期的な内視鏡検査をお勧めします。

上部消化管内視鏡検査について ピロリ菌除菌について 胃がん検診

過敏性腸症候群

日本人の10%に生じると言われている、精神的なストレスや自律神経の乱れによって、便秘や下痢を起こしている状態です。
腹痛とともに下痢をする方、お腹の張りを伴う便秘の方、下痢と便秘を数日ごとに繰り返す方など、症状は様々です。
どの型も、ストレスや疲労が引き金となり、排便によって一時的に軽減されます。
その発生メカニズムが知られておらず、感染性腸炎のあとに発症しやすいことが報告されています。
また、睡眠不足や運動不足、飲酒、脂質の多い食事が悪影響を起こすことがわかっています。
検査としては、血液検査や下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ)を行って、腸に他の病気が隠れていないか、炎症や潰瘍などの病気を除外することが大事です。
その上で、規則正しい生活、食事療法や運動療法、なるべく疲労やストレスをかけない生活を心がけます。
それでも改善しない場合は、症状を緩和する薬物療法を行います。
精神的なストレスが緩和されない場合には、精神療法が必要となることも少なくありません。

大腸がん

大腸(結腸・直腸)に発生する悪性腫瘍です。罹患数は男性で3位、女性で2位、男女総数で1位です。
死亡数は男性で3位、女性で1位、男女総数で2位です。
腺腫という良性ポリープが癌化するものと、正常粘膜から直接癌ができるものがあります。
日本人ではS状結腸と直腸に多く、リスクが高くなる年齢は50代からです。
初期の段階では症状はありません。進行すると、便に血が混じったり、下血や下痢は便秘などの便通障害や、便がほそくなったり、残便感がみられたりします。
下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ)やCT、血液検査、PET-CTなどの検査で診断します。
治療は、内視鏡的治療、外科的手術、抗癌剤治療、放射線治療、対症療法がありますが、早期癌のなかには内視鏡治療が可能なものもありますので、早期にみつけるためには40代からの検査をお勧めします。

下部消化管内視鏡について 大腸がん検診