定期的に受けたい下部内視鏡検査

大腸カメラのイメージイラスト

下部消化管内視鏡(大腸カメラ)は、洗浄液を飲んで腸をきれいにした状態で肛門から内視鏡を挿入し、直腸から盲腸までのポリープ・がん・炎症・潰瘍などの病変がないかどうかを調べます。 他の検査(CT等)では識別困難な大腸の色調変化や粘膜面の変化を捉えることができるため、小さなポリープの発見も可能です。

  • 疑わしい部位が見つかった場合は、ごく小さい組織片を摘まみ出し、顕微鏡などで詳しく調べることも出来ます。
  • 症状のない方の健康診断としての大腸カメラは保険適応とはなりません。

検査当日の日帰りポリープ切除も行います

当院では検査当日のポリープ切除も行っています。小さなポリープ(おおよそ10mm以下)は、病変を拡大して観察し、良性の腺腫と判断された時にはその場で切除します。

ポリープ切除をした際には、2-3日間の食事制限や、一週間の旅行・飲酒は避けてください。
詳しくは当院までお気軽にご相談ください。

下部消化管内視鏡で見つかる可能性のある疾患

腺腫、大腸がん、粘膜下腫瘍、カルチノイド、潰瘍性大腸炎、クローン病、ベーチェット病、虚血性腸炎、感染性腸炎(カンピロバクター、サイトメガロ、サルモネラ、クラミジア、腸結核、アメーバ、エルシニアなど)、偽膜性腸炎、膠原繊維性腸炎、内痔核・外痔核など

下部内視鏡検査件数

2021年
(5-12月)
2022年 2023年 2024年
大腸カメラ件数 95 180 220 234
大腸ポリープ切除数 21 47 73 103
早期大腸がん 0 1 1 2
進行大腸がん 1 1 2 3
カルチノイド(NET) 0 0 0 1
虚血性腸炎 2 10 15 12
カンピロバクター 0 0 4 3

当院は血便で虚血性腸炎やカンピロバクターが疑われる場合には、翌診察日に速やかに大腸カメラで診断しております。早期に診断をつけて治療方針を固めることが非常に重要です。

盲腸到達率は99.8%で腺腫検出率(ADR)は38.6%です。当院で切除したポリープ以外に大きな病院で切除して頂いたものが含まれています。ポリープ切除後の後出血は0件です。
米国では、内視鏡医はADR25%を越えるように求められていますが、当院ではきちんとした質をもって検査できているのではないかと思われます。
さらに当院ではポリープ切除をしない場合でも10分の観察時間をかけて、ゆっくり観察しています。今後も、丁寧に検査していきたいと思います。

「眠っている間に終わった、なにも分からなかった」内視鏡検査が最も良い検査とは限りません。
当院の内視鏡は眠っていても、起きていても無理してカメラの挿入をすることなく、観察も丁寧に行っております。観察時にはお腹の張る時間の短い二酸化炭素を使用しています。

大腸カメラ検査の流れ

1.検査前

内視鏡検査は予約制です。予約を取るために事前に来院をお願いしております。
現在治療中の病気、自覚症状の有無、既往歴、手術歴、家族歴などについてお聞きします。前日に内服する下剤と、当日に家で飲む腸管洗浄剤をお渡しします。
現在、通院中の方は大腸カメラを行っても問題ないか、必ず主治医の先生に確認しておいて下さい。

2. 検査の前日

検査を行う前日は消化の良いものを軽めに取って頂き、午後9時頃までに済ませ、下剤を内服して頂きます。それ以降も水やお茶は飲んでも構いません。 ご希望であれば、腸に残りにくい低残渣食も販売しております。
高血圧や喘息など、指示のあった薬は飲んでください。

3. 当日

大腸をきれいにするため、約2リットルの腸管洗浄剤を数回に分けて飲みます。自宅で飲むのが不安な方は、朝に来院して頂き、院内で飲むこともできます。 検査が終わるまでは食事を摂らないでください。アメやガムを食べたり、タバコを吸ったりすることもお控えください。
鎮静剤を希望される方は検査後、終日、自動車・バイク・自転車の運転はできません。
心臓病、高血圧の方は、事前に主治医等に相談のうえ検査の3時間前までに内服してください。
それ以外の薬は検査後にお飲みください。
糖尿病の方は、検診前に薬の服用やインスリンの注射はしないでください。
なお、当日の収縮期血圧が170mmHg、拡張期血圧が100mmHg以上の場合は、合併症を誘発する恐れがあるので検査は行えません。

4. 検査

鎮静剤を使用する場合は、ウトウトした状態で検査を始めます。
左側を下にしてベッドに横になります。その体勢で肛門より内視鏡を挿入して検査を開始します。
必要に応じて、天井向きになったり、右向きになったりすることもあります。

盲腸より結腸・直腸まで観察し、必要があれば組織を採取したり、ポリープを切除したりします。
検査時間はおおよそ20-30分です(ポリープの数や症例によっては時間が延びることがあります)。

5. 検査後

通常、飲食は1時間後より可能です。
鎮静剤を使用したあとは60分程度、ベッドで休んでいただきます。鎮静剤を使用した場合は、終日、自動車・バイク・自転車の運転はできません。

組織検査やポリープ切除をした場合はアルコール、刺激物の摂取や激しい運動、長い入浴は避けてください。
検査終了後、気になる症状がある方は、すぐに医師までご相談ください。