定期的に受けたい上部内視鏡検査

胃カメラのイメージ写真

上部消化管内視鏡(胃カメラ)では、食道、胃、十二指腸のポリープ・がん・炎症などを調べます。
定期的に受けておくことにより、万が一、がんがみつかっても早期発見の確率が飛躍的に高まります。特に、萎縮性胃炎や逆流性食道炎のある方には、定期的な胃カメラ検査をお勧めしております。

  • アニサキスが疑われる時には、食事をしていなければ当日に胃カメラを行い、虫体を見つけた場合にはその場で摘出します。
  • 症状のない方の健康診断としての胃カメラは保険適応とはなりません。
  • 川崎市在住の50歳以上の方は2年に1回、川崎市から胃カメラの健診として補助金が出ます。

上部消化管内視鏡で見つかる可能性のある疾患

食道

逆流性食道炎・バレット食道、食道裂孔ヘルニア、食道がん、食道びらん・潰瘍、好酸球性食道炎、アカラシアなど

慢性胃炎(表層性胃炎、萎縮性胃炎、腸上皮化生)、胃ポリープ(胃底腺ポリープ、過形成性ポリープ)、胃びらん・潰瘍、自己免疫性胃炎、好酸球性胃炎、胃腺腫、胃がん、胃悪性リンパ腫、胃カルチノイド、粘膜下腫瘍、迷入膵、クローン病、胃粘膜下腫瘍(GIST)、アニサキスなど

十二指腸

十二指腸びらん・潰瘍、十二指腸腺腫、十二指腸がん、十二指腸粘膜下腫瘍、乳頭部腫瘍など

上部内視鏡検査件数

2021年
(5-12月)
2022年 2023年 2024年
胃カメラ件数 203 367 372 430
早期胃がん 2 2 3 1
進行胃がん 1 0 0 0
早期食道がん 0 0 1 0
進行食道がん 1 0 0 0

全例、院長が施行させて頂きました。まだまだ件数が多いとは言えませんが、コロナ禍、発熱外来等の診察の合間に行っていたことを考えると、質を落とさない件数としては上限に近いものと考えられます。今後は、外来診察数を制限しますので、もう少し早く予約が取れるようになると期待しています。
早期胃がんの中には見つかりにくいとされている未分化がん(印鑑細胞がん)が2例含まれています。
2024年度にがんの件数が減っている要因としては、当院で2回目の胃カメラとなる方が非常に増え、2回目以降に食道がんや胃がんが見つかる方が非常に少ないことによるものと考えられます。
また、1回目の胃カメラでの見落としがないという裏付けともいえます。
実際に、2回目に早期胃がんが見つかったのは1件で、その方は、1年前の胃カメラでは同じ部位の写真を見返しても、やはり胃がんは見られませんでした。

当院ではNBIという特殊な光と、拡大内視鏡を使用して毛細血管の様子で癌と非癌を診断しております。特に食道と十二指腸では生検をしたことによって癒着が生じ、その後の内視鏡治療が難しくなることがあり、不要な生検を避けております。

上部消化管内視鏡(胃カメラ)の種類

当院では経口内視鏡、経鼻内視鏡を選べます。

経口内視鏡

経口内視鏡の場合には、静脈注射の鎮静剤を使用して、少しウトウトした状態で検査を受けることもできます。その場合は、終了後に1時間程度、ベッドで休んで頂きます。当日は検査後、終日、車・自転車・バイクなどの運転ができません。

経鼻内視鏡

経鼻内視鏡は鼻に麻酔をしてから、ストロー程度の太さの柔らかい内視鏡を鼻から胃へと挿入する内視鏡検査であり、口から挿入する経口内視鏡に比べて嘔吐反射や不快感が少なく、比較的楽に行える検査ですが、受診される方によっては鼻に痛みがあったという方もいらっしゃいます。
検査前にすでに鼻のむくみがあるような場合や、アニサキスが疑われ、虫体を取ることが予想されるような場合には経鼻内視鏡は選択できません。

上部消化管内視鏡の流れ

1. 検査前

内視鏡検査は予約制です。当院で初めて胃カメラを行う方は、予約を取るために事前に来院をお願いしております。
現在治療中の病気、自覚症状の有無、既往歴、手術歴、家族歴などについてお聞きします。それを踏まえて、当日に中止していただく薬や内服していただく薬をお伝えします。

当院ですでに胃カメラを行ったことのある方で、前回と同じ方法(経口、経鼻、鎮静剤の使用の有無)で行う方は電話でも予約を承ります。
現在、他院に通院中の方は胃カメラを行っても問題ないか、必ず主治医の先生に確認しておいて下さい。

2. 検査の前日

検査を行う前日の夕食は消化の良いものを軽めに取って頂き、午後9時頃までに済ませてください。
それ以降も水やお茶は飲んでも構いません。高血圧や喘息など、指示のあった薬は飲んでください。

3. 当日

検査が終わるまでは食事を摂らないでください。アメやガムを食べたり、タバコを吸ったりすることもお控えください。
検査開始の2時間前までに、コップ1杯程度の水や白湯を飲んでください。横になりやすい服装でお越しください。

鎮静剤を希望される方は検査後、終日、自動車・バイク・自転車の運転はできません。
心臓病、高血圧の方は、事前に主治医等に相談のうえ検査の3時間前までに内服してください。それ以外の薬は検査後にお飲みください。

糖尿病の方は、検診前に薬の服用やインスリンの注射はしないでください。
なお、当日の収縮期血圧が170mmHg、拡張期血圧が100mmHg以上の場合は、合併症を誘発する恐れがあるので検査は行えません。

4. 来院後

検査の前処置として胃の泡を綺麗にする液体を飲みます。

経口の場合は、喉に麻酔を行います。鎮静剤を使用する場合は、検査開始の直前に静脈注射の鎮静剤を使用して、少しウトウトした状態で検査を始めます。 経鼻の場合は両方の鼻腔に局所血管収縮薬を噴霧し、両方の鼻腔内に局部麻酔をします。

5. 検査

咽頭・喉頭・食道・胃・十二指腸などを観察し、必要があれば組織を採取し、病理検査に提出します。 検査時間はおおよそ5-10分です。

6. 検査後

喉の麻酔をした場合、検査後60分程度は飲食ができません。鎮静剤を使用したあとは60分程度、ベッドで休んでいただきます。鎮静剤を使用した場合は、検査後、終日、自動車・バイク・自転車の運転はできません。

組織検査をした場合、当日はアルコール、刺激物の摂取や激しい運動、長い入浴は避けてください。組織検査(病理)の結果は約2週間後に再診して頂いた際にお伝えします。